2023年2月16日、広島市教育委員会が「はだしのゲン」を教科書(平和ノート)から削除すると発表しました。
「はだしのゲン」が教科書から削除されることについて、ネットでは賛否両論な意見があります。
そこで今回は、「はだしのゲン」の教科書削除の本当の理由と、ネットの意見をまとめてみました。
はだしのゲン削除の本当の理由はなぜ?

広島市の小学3年生が学習する平和ノートに教材として「はだしのゲン」の一部が掲載されています。
2023年4月から、「はだしのゲン」を教材としての使用をなくすと教育委員会が発表し物議を醸しています。
「はだしのゲン」削除の本当の理由について、まとめてみました。
理由1.児童の生活実態に合わない
家計を助けようと路上で浪曲を歌って小銭を稼いだり、栄養不足で体調を崩した身重の母親に食べさせるために池のコイを盗んだりする場面を引用している。
yahooニュース
- ゲンが家計を助けるためお金を稼ぐこと
- 家族のためにコイを盗む
- 浪曲を知らない
戦時中の生活と戦後の生活は違うので、児童に正確に当時の実態を伝えるには難しいと判断されたようです。
理由2.誤解を生む恐れがある
家族のためなら盗みを犯しても良い、小さい子どもでも家計を助けるためにお金を稼いでも良い、と間違った考え方をしないかという懸念があり、教材として使用しないとしたと言います。
これに関しては、「それは教え方次第だろ」という意見がありますね。
子どもはそんな馬鹿じゃないですよ・・・。
なぜそうしなければいけなかったのか、と背景を想像することはできます。
これは教員にも児童にも失礼な解釈だなと感じました。
理由3.教員の”困り感”が強い
小学3年生なので、ある程度ゆっくりと事実をつかませて、感じさせて、考えさせると言う作業が必要なので、少し遠回りするというか、本質に迫る時間が短くなると言うことが生じる。
テレビ朝news
原爆の恐ろしさや戦争の愚かさを教える以前に、「浪曲とは何か」「なぜお金を稼ぐ必要があるのか」「お母さんが栄養失調になった理由は」といった細かなところまで指導する必要があり、そうすると本質に迫る前に授業が終わってしまう懸念があるということです。
実際に授業をする教員からの”困り感”が多く上がっていたと言います。

私も小学校教員をしていたので、該当学年の担任時には「はだしのゲン」の教材で指導した経験があります。
確かに、戦時中と戦後の生活はまるで違う上に漫画の一部切り抜きだったので補足する必要はありました。
なので、いきなり本質には迫れなかったけれど、補足を加えることでリアルさが伝わり、子どもたちは戦争の恐ろしさや愚かさを理解していました。
”困り感”はあったけど、教材として適切ではない、とは思いませんね。
はだしのゲン削除について賛否両論の声
賛成の声





ちなみに。僕は賛成です。 教材というのはどうしても、限られた時間の中できっちり伝えねばならず。その役目はとても難しいものだと思います。広島には教材になるようなものはすごくたくさんありますし、体験学習もしやすい



少年ジャンプ連載時は読んでいましたが、今となるとかなり左寄りの漫画だったと思います。今の子供達には「思想の植付け」にも思えます。
「はだしのゲン」が教科書から削除するのに賛成の声のほとんどが『思想が強いからその点において削除は賛成』というもの。
「戦争は天皇のせい」「天皇が戦争をしなければ」といった偏った思想を植え付けかねないという視点から、教材としてはふさわしくないとの声が見受けられました。
反対の声





長崎出身です。反対ですね。むしろこれは全世界の子供達に見せ、永久に戦争と原爆のむごたらしさをトラウマとしてかかえさせるべき。この作品のせいで私は小6まで花火の爆発音でさえ恐怖だった。



はだしのゲン見て育った私からしたら 反対でしかない。 しっかり見て学ぶ事も大切。



はだしのゲン削除?ふざけるな、断固反対。 薄れさせて忘れさせる事によって戦争できる国にしていくつもりか。そんな事にならない為に中沢啓治はこれを描いたんじゃないのか。 教科書から削除するなら代わりに地上波で映画を流せ、漫画広告でも流しまくってくれていい。 戦死者への冒涜を許すな。
「はだしのゲン」は、一度読むとトラウマになる程、”戦争は怖い””恐ろしい”と強く印象に残る漫画です。
フィクションではなく実話を元にした漫画であること、そして被曝伝承者が少なくなっている現状から、「はだしのゲン」は教材として残しておいてほしいという声が多くありました。
今後の平和教育はどうなるか?


「はだしのゲン」が教科書から削除されることで、今後の平和学習にどのような影響が出るのか考えてみました。
広島市には、「はだしのゲン」以外にも、原爆ドームや佐々木貞子の折り鶴、被爆者の体験談など教材になる題材はあります。
ゲンの漫画が教材から削除されたからといって、戦争の残酷さや恐ろしさが継承されない、といったことはないでしょう。
しかし「はだしのゲン」の1番の良さは、漫画なので手に取りやすく子どもにストレートに戦争の恐ろしさを伝える力があるということではないでしょうか?
だから教材にしたことで、全員の子どもたちに作者の想いが届き、”戦争とは何か”が漫画と授業から強烈に印象に残せたのだと考えます。
小学校教員をしていた頃、海外の日本人学校へ勤務していた時期があります。
海外の日本人学校なので、日本全国津々浦々から子どもたちが集まります。
「B29ってどのくらいの濃さの鉛筆なの?」「8月6日?何があったの?」と聞かれた時にはショックでした。
同時に、平和学習が全国的に行われていないことを知り、愕然としました・・・。
そんな子どもたちが「はだしのゲン」の漫画に触れると、戦争や原爆、平和について深く理解していくのです。
「この漫画はフィクションじゃなく、作者の中原啓治さんの実体験。どう思って、どう感じた?」というと絶句し、中には泣き出す子もいました。
「自分が当時生きていたら・・・想像したくないです」
「信じられない、本当に怖い」
「自分だったらゲンのように強く生きていけるだろうか」
子どもたちは、ゲンからたくさんのことを知り、学んでいました。
「はだしのゲン」が教材から削除されるのは残念ですが、漫画は無くして欲しくないし、同じ過ちを犯さないよう後世にしっかり繋いでほしいと心から思います。
まとめ
「はだしのゲン」が広島市の教科書から削除される本当の理由と、ネットの声をまとめてみました。
戦争を体験した人が少なくなってきて、どう継承していくか、考える時期がきています。
戦争や原爆の悲惨さや恐ろしさをストレートに伝える「はだしのゲン」。
教材からの削除は残念ですが、後世に残すべき作品なので、子どもたちが手に取れる場所にあってほしいです。
これからも平和がずっと続きますように・・・。
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