2022年5月6日の金曜ロードショーでは、ジブリ作品『崖の上のポニョ』が放送されます。
『崖の上のポニョ』は2008年に公開され、一切CGを使わず全て手書きでアニメーション映画を制作したことでも有名です。
愛らしく可愛らしいポニョのイメージがある反面、《人間から魚になる過程が恐ろしく怖い》《海の感じが怖い》《何が怖いのかわからないけど怖い》という声があります。
一体、ポニョの何が怖いのでしょうか?
ストーリー?キャラクター?
今回は、『崖の上のポニョ』がなぜ怖いと感じるのか、考察をしていきたいと思います!
『崖の上のポニョ』のあらすじ

海の女神である母グランマンマーレと魔法使いの父フジモトに育てられている魚の女の子ポニョ。
ある日、海岸へやってきたポニョは、空き瓶に頭が挟まっていたところを、保育園児の宗介に助けられます。

宗介は魚のポニョが好きになり、ポニョも宗介が好きになるのですが、ポニョがいなくなったことに気づいたフジモトに追いかけられて捕まり、ポニョは海底に連れ戻されてしまいます。
フジモトは、海底にある家の井戸に、”命の水”を蓄えており、その井戸が一杯になると、忌まわしき人間の時代が終わり、再び海の時代が始まるのだといいます。

ポニョは、宗介に会うために家から逃げ出そうとして、偶然に、その井戸へ海水を注ぎ込んでしまいます。
すると命の水はポニョの周りに溢れ出し、ポニョは人間の姿へと変わるのです!
強い魔力を得たポニョは激しい嵐を呼び起こし、津波に乗りながら宗介の前に現れて、嬉しさで飛びついて抱きしめます。
宗介は、女の子の正体が魚のポニョであるとすぐに気づいて、彼女が訪れたことを嬉しがり2人で喜びました。

一方、フジモトは、“ポニョが世界に大穴を開けた”と言って、このままでは世界が破滅すると慌て出すのですが、グランマンマーレは、ポニョを人間にしてしまえば良いのだとフジモトに提案します。
古い魔法を使えば、ポニョを人間にして、魔法を失わせることができるのだというのです。
しかし、それには宗介の気持ちが揺らがないことが条件で、宗介次第で、ポニョは泡になってしまうというではありませんか。

嵐が落ちつくと、宗介の母リサは、彼女が勤めている老人ホーム「ひまわりの家」の様子を見に出かけていきます。
翌朝、宗介はポニョと一緒にリサの後を追うと、途中でポニョは眠り出し、魚の姿に戻ってしまいました。
そこへやってきたフジモトが、二人を海底に沈んでいるひまわり園まで連れて行くと、そこにはリサとグランマンマーレが待っていてポニョと宗介について話をしていたのです。

グランマンマーレは、宗介が心からポニョを好きなことと、ポニョが魔法を捨てても人間になりたいことを確かめて、ポニョを人間にする魔法をかけます。
ポニョと宗介が陸に戻り、ポニョにキスをすると、ポニョの姿は5歳の女の子に変わったのでした。

崖の上のポニョ怖いの声
《世界の終わりが見えるようで怖い》《何が怖いと説明できないけど怖い》という声も見受けられました。
ポニョが怖いと感じる理由
生と死を彷彿させるから

『崖の上のポニョ』は宮崎駿監督が【海と陸はこの世とあの世とか、生と死とかいろんな言い方ができるが、5歳の子どもに分かってくれればいい】というコメントをしていおり、生死がテーマになっていることを示唆していると言われています。
また、作曲家の久石譲さんも【ポニョの音楽を作るときには死後の世界や輪廻などの哲学的なものを取り入れながら、子どもに理解できる音楽を作るという点で一番悩んだ】といいます。
ポニョには気になる都市伝説がいくつかあります。
・津波が来た時点で街の人の多くは亡くなっている
・海に出ていた父親は、海の観音様を見た時点でこの世にいない
・海で出会った赤ちゃんを連れた家族は成仏していない彷徨った魂だったが、ポニョによって成仏できた
・トンネルはあの世とこの世を繋いでいる
・クラゲドームは「天国」を表していて、老人ホームの人や宗介の母・リサも亡くなり天国にいる
宮崎駿さんは、事細かに「ここはこういう意味を持っていて…」という説明はしていませんが、ストーリーや描写でなんとなく死後の世界を示唆しているのが分かります。
特に、物語終盤で出てくる「トンネル」は、『千と千尋の神隠し』の冒頭に出てくるトンネルと近い意味を持つと考えられます。
『千と千尋の神隠し』では、現実世界と異世界をつなぐものとして描かれていました。
『崖の上のポニョ』では、トンネルを通る間に、人間の姿をしていたポニョが魚に戻っていきます。
この変化からあの世とこの世を繋ぐものではないかと言われているのです。
ポニョが人間から魚に戻る=人間が生まれる前に戻る、ということも考えられます。
お腹に宿った胎児は、地球に生息した生き物の軌跡を辿っているという話があります。
胎児の成長過程の姿を見てピンと来ませんか?

人の姿になるまでの間に、卵から恐竜のような姿を経て大きくなり、人の姿に変わっていきます。
この姿がまるで人が誕生するまでの軌跡を表しているようだと言われているのです。
このことから、ポニョが人間から魚に戻る=生まれる前の世界に戻る、ということを示しているのではなかろうか、と考察することができます。
『崖の上のポニョ』は、ところどころに生と死を彷彿させるシーンが組み込まれているので、人間の本能でゾワッと怖さを感じる人が多いのだろうと思います。
手書きの描写がリアルだから
これは、人間の本能で、人類の最大の特徴である「想像力」がマイナス方向へ働いた場合に発生する恐怖感がそうさせているのです。
生存欲に起因したモノなので、なんとくポニョが怖いと感じる人が多いのはストーリーや絵から「死」を連想させてしまっているからだと考えられます。
CGも使わず手書きのアニメーションなので、勢いや細かい描写が逆にリアルに迫ってくる感じを受けるのでしょうね。
ポニョの顔が怖いから
次に、怖いと感じるのが多いのがポニョが人間の姿から半魚人・魚の姿に変わるのが猛烈に怖いということ。

確かに、なんか怖い。。。
人間が《怖い》と感じる顔の表情があります。
・目を大きく見開いて口がこれでもかというくらい横に開いている顔
・人間の形をした人間でないもの(例:フランス人形や市松人形、ピエロ)
ポニョの顔って、《怖い》と感じる2点に当てはまるんですよね。
特に大きく瞳孔が開いた眼が恐怖心を煽る気がします。
あの目でじっと見つめられたら…確かに怖いです。
まとめ
『崖の上のポニョ』が怖いと感じる理由について考察してみました。
うちの子は海の生き物がすごく好きなので、ポニョを初めてみた時は「面白い!いろんな魚が出てくる!」と言って喜んで見ていました。
私は、確かにぞわぞわっと背筋が凍る瞬間がところどころにあって、”なんだろう、この違和感”と感じたことがあります。
けれど、宮崎駿さんの描く男の子が大好きな私は、ラストの宗介の言葉「半魚人のポニョも、人間のポニョもみんな好き」の一言でズッキュン!!怖さが吹き飛びました(笑)
ポニョのキャッチコピーが「生まれてきてよかった」ーーー。
あなたも私も「生まれてきてよかった」そして「どんな姿であろうとありのままのあなたが好き」という深いメッセージも隠れているような気がします。
『崖の上のポニョ』奥が深い。。。
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